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January 27, 2006

浜野保樹『メディアの世紀-アメリカ神話の創造者たち』岩波書店、1991

medianoseiki.JPG この本には、アメリカの1930年代を中心にしたマス・メディアをめぐる様々なトピックが目白押し。アメリカの1920年代はものすごい好景気の時代で、アメリカンライフはこの時代に登場したといっていい。けれども1930年代は大不況の時代。つまり20年代はバブル期で、土地は上がり続け、株価は下降せずだった。みんなが投資した。そして、そのツケは30年代に一気にくる。そして40年前後は、ファシズムと共産主義と戦争。そんな流動的な時代にマス・メディアは大変貌をとげる。

 こうした時代の一つの軸となるのが空の英雄、いやアメリカの英雄、リンドバーグ。リンドバーグは、1927年にワシントンーパリ間の単独飛行を成功させた人物だ。アメリカは熱狂した。リンドバーグのニュースに熱狂した。大統領になろうかというぐらいの人気者だった。しかしリンドバーグは悲劇のヒーローでもある。1932年に子どもを誘拐され身代金を奪われた。そして子どもは帰ってこなかった。
 この時代、語りぐさになっているのはピュリツァーとハーストの新聞拡張の争い。いわゆるイエロー・ジャーナリズムだ。新聞はセンショーナリズムとのぞき趣味で、大衆という新しい読者を獲得していく。新聞の文体は感想文のようになり思う感ずるといった言葉はないにしても、事実を正確に伝えることよりも、英雄話と醜聞と憎悪をかき立てることに邁進した(いつもだけどね)。リンドバーグは成功と悲劇の注目の的だった。

 ハーストはスペイン戦争をけしかけて実現させた、ともいわれる。不況の中の大統領だったフーヴァーは、当然だが人気がなかった。それは彼が人々の前に現れずに仕事ばかりしていたからでもあった。次の大統領ローズヴェルトは、記者会見を頻繁に開き、記者とかかわり、ラジオという新しいメディアを活用した。自分だけが情報源になることによって逆に情報を操作した。彼のラジオ放送は炉端談義といわれ人々に親密感を与えた。
 金のない牧師だったカフリンは、ラジオ説教を始める。聴衆を集め、寄付金がまいこみ、イデオローグとなる。
 神童と呼ばれたウェルズは、ラジオでドラマを放送し、映画にも手を染める。ウェルズの『火星からの侵入』は人々を本当にパニックに陥れたことで有名なラジオドラマだ。そしてラジオ・マラソンをしたケイト・スミスは、たくさんの戦時公債を人々に買ってもらった。

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 『メディアの世紀』には、そうしたマスメディア史にいつも出てくるトピックがちりばめられ、そこに時代の英雄リンドバーグをからめながら進んでいくアメリカ史のひとつの物語となっている。なので専門書よりも印象に残るだろう。この本のいいところは、そんな印象的な記述と、なによりも読みやすいこと。短いセンテンスがとても小気味いい。浜野保樹は、この本以降はだらだら書いているような気がする。こんな文章書けるのにもったいない。
 それとこの本は、20年代と30年代が中心だから読みようによっては、アレンの本の焼き直しのようにも読める、合わせて『オンリー・イエスタデイ』『シンス・イエスタデイ』(ともに、ちくま文庫だが絶版、古本で手にはいるはず、復刊求む)を読むといいと思う。

投稿者 it : January 27, 2006 6:53 PM

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