大村先生ノーベル賞に寄せて of 関東学院大学 理工学部 理工学科 生命科学コース


関東学院大学
理工学部 理工学科
工学部 物質生命科学科

今年のノーベル賞受賞者大村智先生と北里研究所の思い出

生命学系長・川原一芳

 今年のノーベル賞生理学・医学賞は他の2名の研究者と一緒に大村智先生(北里大学特別栄誉教授)が受賞されました。大村先生、おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。
 私は関東学院大学に赴任する前は北里研究所において大村智所長の下、細菌学の研究を行っていましたので、当時を振り返り、大村先生の紹介とさせて頂きたいと思います。北里研究所は、現在は大学と統合され、学校法人の名称にその名を残すのみですが、私が在籍した当時(1986~2004年)は大学とは別組織でした。当時すでにイベルメクチンは実用化され、多くのオンコセルカ症の患者を救っていましたが、大村先生とその共同研究者、教え子たちはそれに満足せず新たな医薬品に繋がる活性物質を求めて日々研究に没頭していました。大村先生の医薬品開発への熱意と大きなグループを率いていく強力なリーダーシップには頭が下がる思いでした。20世紀の終わり頃はちょうど、北里柴三郎先生によるペスト菌発見、志賀潔先生による赤痢菌発見の100周年という時期で、大村所長のお考えで様々なシンポジウムが開催されました。写真は、ドイツ(ベルリン)にあるローベルトコッホ研究所の研究者を招いての合同シンポジウムにおける記念写真です。真ん中に大村先生、壁には北里柴三郎先生の肖像画が写り、まさに北里研究所の歴史を現わす一枚となっています。私も大村所長に叱咤激励されて、志賀毒素(ベロ毒素)やペスト菌エンドトキシンの研究を行ったのが、昨日のことのように思い出されます。この頃の土台の上に、関東学院大学での研究があることを改めて感じました。

北里コッホシンポ写真.jpg
ローベルト・コッホ研究所/北里研究所合同シンポジウムにおける記念写真
(真ん中に大村先生。筆者は2列めの右から4番目。)