氏名 小岩一郎
KOIWA, Ichiro
役職/職名 教授
出身大学/大学院 早稲田大学/早稲田大学
取得学位 早稲田大学 工学博士
研究職歴 1986.04-1988.03 早稲田大学理工学部応用化学科 助手
1988.04-2005.03 沖電気工業株式会社 研究開発本部・研究本部 勤務
2005.04-2013.03 関東学院大学工学部物質生命科学科 教授
2013.04-現在   関東学院大学理工学部化学学系応用化学コース 教授
研究分野 エレクトロニクス実装工学、薄膜工学、電気化学、表面処理技術
所属学会 Electrochemical Society (米国電化)、International Electrochemical Society、日本化学会、応用物理学会、電気化学会、エレクトロニクス実装学会、表面技術協会、日本接着学会、日本材料科学会
連絡先 koiwa<AT>kanto-gakuin.ac.jp

研究業績は LinkIconこちら
個人のHPは LinkIconこちら
教員紹介の「小岩一郎」をクリックしてください

非懸濁液からの分散めっき膜の作製

 
めっき浴中に粒子を入れて、めっき膜を形成してめっき膜中に粒子を共析させるめっき膜を分散めっきと言っている。図1に示すように、通常はめっき浴中に粒子を混入して、めっきを行う。このようなめっき膜は、粒子を含むことで新しい機能を持つことができる。しかし、めっき浴中に粒子を混入することは、めっき浴の安定性やめっき浴の管理手法である濾過の観点から好ましくない。図2に示したように、粒子を混入しないめっき浴から分散めっき膜が形成できれば理想的である。この研究では、めっき浴中に第四級アンモニウム塩(塩化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム)を添加することで、実現している。図3には、作製しためっき膜の透過型電子顕微鏡による解析結果を示した。直径が10 nm程度の粒子がめっき膜中に含まれており、電子線解析の結果から、この粒子が光触媒として機能するアナターゼ型の酸化チタン(TiO2)であることが明らかになった。したがって、粒子を含まない透明なめっき浴から、粒子を含んだ複合めっき膜を作製できることを明らかにした。

密度実装用配線形成の検討(異なる深さのビアフィリングと配線の一括形成

 
スマートフォンを使っている方が多いと思いますが、それはもうコンピュータそのものです。20年前は机の上を占領していたコンピュータが、胸のポケットに入っているのは大変な小型化です。1946年に世界最初のコンピュータのENIACが作られ、真空管が18,000本使われ重さが27トンあったものが、現在ではその能力が大きく進歩して、大きさは比較の対象にならないほどに小さくなっている。これはシリコン半導体の進歩も大きいが、部品を限られたれたスペースに実装する技術無くしては実現できません。その実装技術にめっき法が大きく貢献しています。図に示してあるように、深さの異なった穴を同時に埋めるようなことは、めっき法でしかできません。今後も電子デバイスは、携帯化が進み、また、多機能化も進みます。そのような難しい要求を満たすために、図に示すように、レーザーで細い穴を開けてそこに伝導率の良い銅をめっきで充填する技術の重要性が高まります。深さの違う深い穴を埋める技術は、コストなどを考えるとめっき法以外では実現できません。

非水溶媒からのアルミニウムおよびアルミニウム合金めっき膜の作製

 
金属はとても魅力のある材料です。資源的にもアルミニウムや鉄は豊富な金属です。特に、鉄は建築物や乗り物(自動車、船舶、列車)に多く使われています。しかし、鉄の弱点は錆びてしまうことです。錆びると強度も低下してしまいます。現在、錆びを防ぐ(防錆)としては亜鉛めっきが主に用いられています。しかし、亜鉛は今後十年程度で資源が枯渇すると言われています。そこで、亜鉛めっきに代わる防錆めっきが必要になります。もちろん、資源的に問題が無いことが条件になります。アルミニウムは、資源的に豊富な金属ですが、水溶液ではアルミニウムが析出せずに、水素が発生してしまいます。そこで、非水系の有機溶媒やイオン液体でのめっきが検討されています。図1には本研究に用いた有機溶媒であるジメチルスルフォンの構造式をしまします。図2に示すように、その浴からアルミニウム膜が形成され、図3に示すようにX線回折からもアルミニウムであることが分かります。図4に示すように、亜鉛など他の金属との合金も作ることができます。